林業における外国人労働者の活用はあり?なし?

林業における労働者の減少は重要な課題となっており、これに対処するため外国人労働者の活用が注目されています。

しかし、日本の情勢は円安・物価高。日本で働く外国人労働者の確保に大きな影響を及ぼし始めています。
また、林業特有の特殊な労働環境は外国人労働者の受け入れにあたって大きな課題となっています。とりわけ、労働災害発生率の高い林業では労働安全対策が課題となります。

高まる外国人労働者の待望論

外国人労働者の現状

日本における外国人労働者数は2021年で約173万名にまで増えています。中でも技能実習生はコロナの影響で増減はあったものの、全体的には右肩上がりに増加しています。

林業では、2021年で技能実習生が61名、合計161名が雇用されています。

在留資格

外国人労働者が日本で働くには、専門的・技術的分野もしくは身分に基づく在留資格を有していなければなりません。留学生などの資格外活動でも一部認められていますが誰でも就労できる訳ではありません。

労働力の確保

日本における労働力は、緑の雇用により一定の労働者が確保されています。

一方で、木材生産などの労働力は増加しているものの、人力の多い造林では減少の一途をたどっています。特に下刈りや植林は人力に頼らざる得ず外国人労働者の待望論がやまない状況です。

受け入れに向けた方向性と課題

技能実習制度

林業での受け入れは体制や環境が整っておらず期間は1年のみです。3年、5年の受け入れを可能とするには技能を評価する試験が必要となります。そのため技能を評価する試験や作業等を審査する専門家会議が行われています。

一方、技能実習生に対する労働関係法令違反などが問題になっているケースが多発しています。

政府の対応

外国人の受け入れに係って、技能実習・特定技能の両制度の施行状況を検証し、適正な受け入れに向けた検討が行われています。このことにより、適切な制度運営と制度の拡大がされると想定されます。

言語と文化の壁

外国人労働者は日本の言語や文化に適応する必要があります。

また受け入れ側も言語学習や文化交流を提供することで円滑な受け入れを支援する必要があります。

教育とトレーニング

林業に関する知識や技術を習得するためのトレーニングと教育が不可欠です。

受け入れ側は適切なスキルを提供する必要があります。

コスト

技能実習生を雇い入れるには、給与、福利厚生費以外にも、渡航費、研修費、監理費などのコストが見込まれます。

円安の影響

円安により日本ではなく韓国やオーストラリアが選ばれる傾向にあります。

また送り出し国であるベトナムの経済成長が著しく、円安も相まって日本との賃金差は縮まっています。

まとめ

林業での外国労働者の活用は、造林作業での活躍が期待されています。日本の林業を持続可能なものにするには必要な施策ともいえます。

そのためにも適切な支援と林業関係者の協力を通じて、労働安全対策の向上や処遇改善を図り、日本の林業が選ばれる立場にならなければ実現は不可能です。