他産業より10倍危険 林業の労働安全対策について

林業の現場は森林や山林等、特殊な環境下での作業がほとんどで、急傾斜地等での作業は転落・転倒の危険性を伴います。また刃物による切創、立木との接触などによる災害も多く発生しています。林業の労働災害発生率で見ると他産業に比べ約10倍となっており、労働安全対策を確実に講じることが重要です。

林業の労働安全対策は、労働者を危険から守り、持続可能な林業の実践を確保するためにも必要な取り組みとなっています。
以下、林業での労働安全対策について説明します。

法令

法令を順守することは労働者の安全を確保するために確実に遵守する必要があります。事業者は法令に基づく措置を確実に履行することが求められます。

法令改正

2019年に労働安全に係る法令改正が行われ、防護ズボンの義務化やかかり木処理の禁止事項の厳罰化などが盛り込まれました。また法令改正にあわせて安全に関する各種ガイドラインも改正されています。

訓練と教育

樹木の伐採や運搬をはじめ、業務全般を実行するには高度な技能が必要であり、事業者は労働者に適切な訓練と教育を提供することが必要となります。
安全な作業方法や機器の正しい使用方法を身につけることにより多くの事故を防ぐことができます。

適切な保護具の使用

林業では業務全般に危険を伴います。
労働者はヘルメット、耳栓、安全靴・地下足袋、フェイスガード、防振手袋など、適切な個人保護具を着用することが求められます。
これらは、頭部、聴覚、視覚、手、足を保護し、怪我を最小限に抑える役割を果たします。

作業環境の評価

作業現場の安全性を確保するために作業環境を的確に評価する必要があります。
この評価により、危険物の特定、転倒の危険、落下物のリスクなどを特定することにより必要な対策を講じることができます。

危険予知活動の実施

危険予知活動により事故や怪我を未然に防ぐためにも重要です。
樹木の伐採前に周囲の状況を確認し、危険因子を排除することや、天候悪化時に一度作業を停止することも危険予知活動の一つとしてあげられます。

応急処置

万が一の事故に備え労働者に応急処置の訓練を実施することも対策の一つです。
緊急時は速やかな応急手当が生命を救うことにつながります。
また緊急時の連絡体制を構築することにより救急車の手配などがスムーズに行うことができます。

まとめ

林業の労働安全対策は、労働者の安全と健康を保護し、林業を持続可能な産業に進展するためにも不可欠な要素です。

適切な訓練、保護具の使用、作業環境の評価、危険予知活動の実施、応急処置の訓練、法令と規制を順守することにより、林業労働者にとっての安全な環境が確保されます。

そのためにも労働安全対策に係る各種ガイドラインを確実に遵守することが求められます。