林業には「特殊伐採」という通常の伐採作業(ここでは樹木の根元から伐採することを指します)とは異なる特別な伐採方法があります。
特殊伐採が必要になる状況として、樹木の成長に伴い通行や隣接地等への障害となった場合、気象や枯損により倒木・枝落下の危険性があった場合などが想定されます。その様な樹木を安全に処理する為に特殊伐採が必要となります。
特殊伐採は地形や場所を問わず、公園、寺社仏閣、農地、街路樹などでも有効に活用されています。
以下、特殊伐採について説明します。
伐採方法
特殊伐採には高所作業車などの重機使用の有無でいくつかの方法に分かれます。
重機を使用しない場合はツリークライミングを利用した伐採が主になります。
高所作業車、クレーン等重機を使用した伐採
高所作業車やクレーンを使用することで、都市部や狭い場所でも木を安全に伐採することができます。
高所作業車を利用することで切除が難しい枝等へ直接アプローチが出来ます。
またクレーンを使うことで、木を部分的に切り落とし、安全な場所に移動させることが可能です。
ツリークライミング、ロープアクセス技術
急斜面や高所での伐採には、ロープアクセス技術が有効です。
ロープを使って木に登り、安全に切り落とすことができます。
この技術は、高度な訓練を受けた専門家によって行われます。
ガイドロープとウィンチ
木の倒れる方向を制御するために、ガイドロープとウィンチを使用することがあります。
これにより、木を安全な方向に倒し、周囲の建物や環境に影響を与えないようにします。
伐採方法の判断
例えば、対象の樹木を伐採する際、周囲に十分なスペースが確保できる場所があれば高所作業車などの重機の使用が有効となります。
一方、伐採範囲が限られた場所での作業は、ツリークライミングなどのロープワークを駆使した伐採作業が有効になります。
特殊伐採が必要となるシーン
自然災害(台風、大雨、豪雪)により根返り、幹折れ、枝落ちなど発生した場合
被害によっては大変危険な現場となるため早急な対応が求められる場合があります。
建物、道路、電線、鉄道などに近接して生育している樹木が障害となる、もしくはなっている場合
倒木の危険があったり、枝葉が近隣の境界に侵入している場合、事前に伐採などの処理をすることで近隣とのトラブル回避に繋がります。
ナラ枯れ、マツ枯れ等の病気や害虫の制御が必要な場合
病気や害虫の被害により樹木が枯れている場合、通常の伐採が困難になるため特殊伐採が必要となる場合があります。
100年以上の高樹齢(大木、高木)を伐採する場合
高齢樹の場合木材価値が非常に高く、その品質を保つために特殊伐採が行われることがあります。
難しい場所での木の伐採の課題
都市部や住宅地での伐採
都市部や住宅地では、周囲に建物や電線、人々がいるため、木の伐採は非常にデリケートな作業となります。
以下のような課題があります。
- スペースの制約:限られたスペースで木を安全に倒す必要があります。
- 障害物の存在:建物や電線、庭の設備などの障害物を避ける必要があります。
- 安全性の確保:周囲の人々や作業者自身の安全を確保するための対策が重要です。
2. 急斜面や不安定な地形での伐採
山岳地帯や急斜面での木の伐採は、さらに難易度が高くなります。
このような場所では、以下のようなリスクがあります。
- 足場の不安定さ:滑りやすい地面や急斜面での作業は、非常に危険です。
- 木の倒れる方向の制御:急斜面では、木が予期せぬ方向に倒れる可能性があり、周囲の環境に影響を与えることがあります。
- 作業者の安全:高所作業や重機の使用には、高い技術と経験が求められます。
労働安全と必要な技術
特殊伐採を行うには実施者の生命と健康を守るために必要な労働安全対策が必要となります。
- 伐木等の業務に係る特別教育
- フルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)特別教育
- ロープ高所作業特別教育
- 高所作業車運転特別教育
- 玉掛け技能講習
その他、状況に応じて必要な資格を習得する必要があります。
環境への配慮
木の伐採は、環境に対する影響を最小限に抑えることが求められます。
伐採後の木材の適切な処理や、新しい木の植樹などの環境保全活動を行うことが重要です。
また、伐採前には、生態系への影響を評価し、必要に応じて専門家の意見を取り入れることが推奨されます。
まとめ
難しい場所での木の伐採は、高度な技術と経験、そして安全対策が必要です。
都市部や急斜面での伐採は、専門家による綿密な計画と実行が求められます。
安全性を最優先に考え、環境への配慮も忘れずに行うことが重要です。
皆さんがもし木の伐採を考えているなら、専門業者に相談することをお勧めします。
安全で効果的な伐採作業を通じて、美しい環境を守りましょう。
林業には「特殊伐採」という通常の伐採作業(ここでは樹木の根元から伐採することを指します)とは異なる特別な伐採方法があります。 特殊伐採が必要になる状況として、樹木の成長に伴い通行や隣接地等への障害となった場合、気象や枯損により倒木・枝[…]